北海道大学大学院農学研究科は，平成18 年度から新たに農学院に組織変更を行い，21
世紀の農学に課せられた使命にむかって意欲的な教育研究を行っています。その内容をお
知らせいたします。
１ 農学院の教育理念と構成
農学院の理念
人類は21 世紀に至って急激な人口増加や環境破壊などに直面し，その生存が危機的状況になり
つつあります。まさに，地球は資源，食料，エネルギー，空間のあらゆる面において限界に至りつ
つあるのです。農学は衣食住を中心に生存に不可欠な要素を考究する学問ですが，これまでは食料
増産を第一義的に追求し，これに直接間接に関わる科学や技術について教育・研究を行ってきまし
た。しかし，食の安全への関心の高まり，石油の枯渇問題，健康で快適な長寿社会の形成など新た
な社会ニーズに対し，農学領域においても新たな学問領域の必要性が要請されており，その構築に
期待が集まっています。そこで，“食料増産のための農学”から“食料の持続的生産と安全安心社
会の構築に貢献する農学”への転換を図る必要があります。また，近年の農学領域における情勢の
変化は当初の予想を大きく超えており，大学院における教育研究体制の更なる強化を図る必要があ
ります。また，社会とのインターフェイスをとるためには，教育組織をフレキシブルで領域横断的
な組織とし，社会的要請に応えうる機動性をもたせる必要があります。上記の理念・目的達成のた
めに，農学研究科を改組し，大学院生の所属組織として「農学院」を設置しています。

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